top of page

山陰中央新報コラム「羅針盤」最終回

  • 執筆者の写真: Mariko Watanabe
    Mariko Watanabe
  • 3 日前
  • 読了時間: 3分

こんにちは、女将の麻里子です。


さて「山陰中央新報」の日曜一面のコラム「羅針盤」の執筆を、タルマーリー渡邉格が担当してきましたが、今回が最終回。第24回2026年3月15日掲載のコラムを、以下に転記します。

「山陰中央新報」さん、そしてこれまで読んで下さった皆さん、本当にありがとうございました!そして今後ともよろしくお願いいたします。


-------------------------


 2021年秋から「羅針盤」を担当して4年半がたち、いよいよ今回が最終回だ。これまで、私の拙い文章を読んでお店に来てくださる方も多くおられて、新聞の力を再認識した。


 私の周りの世界はこの数年間で目まぐるしく変化した。このコラムの読者の皆さんは、私のことを「変わった人だなあ…」と感じていると思うが、こんな私でも変化に対して不安を感じる。しかし変化への恐れ以上に、今までのやり方にしがみつくことの方が恐ろしいと思っている。社会環境は日々刻々と変わっていくからだ。


 あらためて振り返ると、変化を乗り越えてきた原動力は、日常的に自然界の揺らぎと共に生きてきた経験にあると思う。つまり揺らぎとは、私の場合は発酵食品を作る中で意識してきた「野生の菌」という存在だ。日々ぶれを感じ、自然の偉大さを知る。圧倒的な力を持つ自然の前には自分の弱さを再確認するしかない。だから自分が変化せざるを得ない。そうして少しずつ、あらゆることを人ごとにせず「自分事」として捉えられるようになってきた。


 日々の暮らしを整え、直感を磨く。それでも何か手に負えないことに対面したら、我慢してストレスを抱えるのではなく、「これは不快だ」と認めてそこから逃げる。そんな、ここ数年で私が学んだ等身大のことを書いてきた。


 しかし野生の菌がくれたプレゼントは、変化への対応力だけではない。伝統的製法の面白いところは、自然の揺らぎと身体の技を同期させ、パンやビールといった実体に昇華させることにある。そしてそれは私に「独創性」という副産物を与えてくれた。この「独創性」が「生きている実感」につながり、楽しさを提供してくれる。人は誰でも自分にしかない表現ができている時こそ、喜びを感じるのではないだろうか。


 一方、現代社会では揺らぎのない安定したモノの供給体制が出来上がっている。私はパン修業時代、最先端のテクノロジーを使っていたが、自分らしい表現ができないパン作りは息苦しかった。万人受けする安定した商品に個性を見いだすことは難しく、同じような商品との競争に巻き込まれていく。


 テクノロジーが進むと、市場には普遍的な表現が溢(あふ)れてしまう。そして今のような国際秩序を破壊するような流れは、人々に白か黒かの選択を迫っていくだろう。このような強権的な政治体制は、人間一人一人の揺らぎを排除して、全体主義に陥っていく可能性が高い。


 ある変化が良いのか悪いのかを判断する時、自然界の法則を軸にすることが大事ではないだろうか。例えばわたしなら、自然と共生できる変化であれば受け止め、自然を破壊するような変化には抵抗する。自然環境や個性を破壊する戦争などはもってのほかだ。戦争は政治の失敗であり、現状の危うい日本社会がそこに向かわないように目を光らせる必要がある。


 今こそ、この山陰のような場で、日々を自然の揺らぎと共に生きる人々が声を上げる時ではないだろうか。

 

コメント


​店舗情報

営業時間・休日など、最新情報はInstagram、Facebookでご確認下さい。

◆カフェ/ショップ/ホテル

 Cafe / Shop / Hotel

〒689-1402

鳥取県八頭郡智頭町智頭594

>> google map

TEL   0858-71-0139

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagramの社会のアイコン
  • YouTubeの社会のアイコン

Copyright © タルマーリー All Rights Reserved

bottom of page